バジャンへの不思議な物語

ネパールの山奥、バジャンを支援しています。バジャンへを紹介していくつもりです。

バジャンへつながる不思議な物語

2015年、ネパールに大地震がおきた。

2015年4月25日、ネパールの首都カトマンドゥの近くでマグニチュード7.8の地震が起き、続いて5月12日にマグニチュード7.3の余震が起きました。死者は8460人、負傷者は2万人以上に及んだとネパールの内務省報道官が発表しています。私は何かできないかと自宅で細々とやっていた英語サークルで子どもたちと手紙を書くことにしました。私が書いた手紙を紹介します。

手紙

ネパールの皆様こんにちは。

私は普通の主婦ですが自宅で小さな英語サークルをしています。何かすごいことはできないけれど、ネパールについて子どもたちと一緒に学ぶことはできます。今はみんなネパールがどこにあって、何が起きたかを知っています。子どもたちが書いた手紙を読んでもらえるとうれしいです。私も皆さんに言いたいことが3つあります。

一つ目は『「命」があればなんとかなる。』ということです。

「死んでる以外はかすり傷」という言い方が日本にあります。地震でたくさん持っていたものを失ってしまった人に何を言うんだろうとお思いでしょう。でも、聞いてください。それは本当です。私は2年前に乳がんになって手術をしました。命を失うかもしれなかったのです。命を失うとどうなるのか想像するために目を閉じてください。真っ暗で、何も見えないのです。もう一度目を開けると世界が見えます。どんな世界が見えますか。今、あなたの目の前の世界はつらいものかもしれません。でも、あなた方にはこの世界を続けていく「時」があります。「命」と「時」は同義語のようなものです。「時」があればこの世界を少しでもよいものにしていけるはずです。この時間を使って一緒に目の前の世界を少しずつ良いものにしていきたいです。

二つ目は『運命を受け入れよう。』ということです。

今あなたは天を呪って「なんで自分にこんな災いがおきたのだ」と思っているかもしれません。なんでかは、まったくわからないのです。ある人は金持ちに生まれ、ある人は貧しく生まれる。ある人は男に生まれ、ある人は女に生まれる。あるものは日本人として生まれ、あるものはフランス人として生まれる。このようなことは自分の努力では変えられません。それは天からもらった脚本のようなものです。この脚本は天につき返すことができないのです。でも、心をこめて演じれば観客を感動させることはできるはずです。最高の演技を見せましょう。

最後は『ハッピーエンドを信じよう。』です。

以前、福音館書店の松居直さんという人の講演を聞きました。その時の話でアウシュビッツ収容所で生き残った人の研究の話がありました。それは生き残った人に共通するのは何かを調べたというお話でした。共通していたのは、年齢でも体格でも、学歴でも、社会的地位でもなかったのです。共通していたのは子どものころにお話をきいていたことだったのです。「そしてみんないつまでも幸せに暮らしましたとさ。」で終わるおとぎ話を聞いていた人は「こんなひどい結末で終わるわけはない。」と信じていたのです。私たちも信じましょう。映画もそうでしょう?前半はカオスですが、後半から面白くなり、最後のどんでん返しですべて解決するのです。きっとうまくいく、そう信じていきましょう。

長い手紙を読んでくださってありがとうございます。悪いことが起これば良いことも起こります。失くしたお金を勘定するのはやめて、今もっているものを数えたいものです。これからも一緒にがんばりましょう。

ジョシ君との出会い

この手紙を書いたとき、私は乳がんの治療中であり、一週間後に人工股関節の手術を控えていました。ネパールの人に励ますつもりが、きっと自分を一番励ましていたのではないでしょうか。この手紙を読んだネパール人のジョシ君は感激手術後の私と子どもたちに会いに来てくれました。この写真はそのネパールイベントの写真です。それから彼は度重なる大きな手術で自分の健康に自信がもてなかった私を励まして英語サークルを再開する手伝いをしてくれたのです。バジャンへつながる不思議な物語はここからスタートしました。

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